パンケーキはブスの食べ物

あくまで可愛いのはパンケーキであってわたしではないのだ。

時計の針

待った。わたしは待った。4年間待った。

また一緒に過ごせる日々を願った。信じた。疑ったこともあきらめたこともなかった。

毎日考えた。考え続けた。

 

セリヌンティウスはメロスを3日後の日没後まで待てば、

立派に友情が成り立った。名作は出来上がった。

 

信じ続けるチカラは3日も続けば美しいと称される。

4年間信じたわたしはなんだった。

何も美しく輝くものなんて何も手元に残らなかった。

18歳が22歳になったというのに、だ。

 

投げた言葉に返事はなく、離れて行った。

全てのつながりは拒否され、電話もメールもできず、

もちろんソーシャルネットワークサービスも拒否された。

迷惑だと言われた。それが最後だ。半年も前の話だ。

泣き続けた。胸がバラバラになるような悲しみに耐え、

気まぐれにかかってくる電話やメールを待ち続けたわたしはなんだった。

 

なんの意図があった。暇つぶしなら私以外の女でしてほしかった。

手間がかかる人材だという事をわかっておきながら

気まぐれに会いたがるだなんてことしてほしくなかった。

未来につながる兆しや、可能性が少しでもあるのなら、

彼がそれを信じてくれていたのなら、

どんなによかったか。

 

 

彼と一緒にいられないのは、自分が未熟だからだとばかり思っていた。

 

今まで大学も就職企業もすべて第一志望で通ってきた。

夢をかなえるための努力は惜しまず積んだ。

それがどうだ、自分を幸せにするという目的では一切達成されていなかったのだ。

そのことに気づくのにはおよそ時間が必要だった。

 

大学は親が喜ぶからだった。

勉強科目への好き嫌いは多少あれど、無謀ではない範囲で、他者に報告した際後ろめたさがない学歴を手にしようと、そうすれば親も喜ぶだろうと考えていた。

だから大学名に満足してロクに勉強していない。論文さえ満足に書けない。

大学生なのに、研究のやり方を会得できていないのである。

自分自身が、学問を優秀に修めることで自分が幸せになれると、

親しい人間が幸せになれると感じられないからである。

 

就職も、似たような理由だった。

彼にとって釣り合う仕事であること、が最優先目標であった。

社会的な地位と評判、都内勤務、充実した福利厚生、それらが達成されていなければ不都合であると感じていた。

その典型的な志望企業がJAXAである。

宇宙開発を日本でリードオフマンとして行う企業、都内もしくはつくば勤務、充実した福利厚生、半公務員、そして気象の仕事に携わる彼へ、元ログを受け渡す気象衛星を作っているということが何より貴重価値のあるポイントだった。

 

親に対しても配慮があった。

すぐに実家へ帰れること、長く働けること、充実した福利厚生。

その典型的な志望企業は成田国際空港だった。

成田市にあるため、実家の銚子市からはさほど離れていない。転勤もなく、公務員体質であるため定年を見据えて働ける。福利厚生も整っている。そして、飛行機を飛ばすという代えがたき大規模なミッションを背負う。

 

結局どちらもおちてしまったので、自分が自ら志望していた人材企業へ進むことが決まった。

1年生から志望していた、ホンモノの「第一志望」の企業だった。

嬉しかったが、彼につながることはなかった。

 

なんだったのだろう。

 

 

 

 

 

 

その左手薬指の指輪外してよ。

どうしてわたしに本当のことをひとつも言ってくれなかったの。

結婚するって言ったじゃない。

あなたは誰を選んだの。

どうしてわたしじゃなかったの。

何を信じていけばいいの。

どうしたら幸せになれるの。

4年間をなかったことにしたくないよ。

時間はいくらだって進むのにわたしは何も得られなかった。