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パンケーキはブスの食べ物

あくまで可愛いのはパンケーキであってわたしではないのだ。

親孝行のかたち

弟の進路が決まった。

 

海沿いで黒潮親潮に恵まれ夏は涼しく冬は暖かく暮らしてきた弟は、大学受験もなんやかんやで第一志望に合格し、今は東京よりも函館の方が近いような大地で、スキーをしたりラグビーをしたりバイトをしたり単位を落としたり女の子とちょっと遊びながら、楽しく暮らしている。ザ・モラトリアム。

 

弟は実家に戻る。戻って、県内で先生になる。レールに乗った人生がイヤだ、大学なんてムダだから退学して起業すると言い中退した18歳の男とはある種正反対の人生を選択した。

しかし「レールに乗った人生」でありながら、私の弟はいつも楽しそうに生きている。ムダなことやイヤなことなんて無さそうな顔をしながらヘラヘラしていたはずなのに、いつのまにか兄弟の中で一番の親孝行ボーイになった。両親は安堵し、大いに喜んでいた。電話したときの母の声は私の就職内定時よりもはずんでいたように思う。

弟は正直なところ、どこか頼りなく、いつも抜けていて、特別頭がいいわけでも仕事が出来るわけでもない。ただ幼い頃から運動神経がよく運動会ではいつも一等賞だった。そして温厚柔和で誰からも愛されていた。

 

 

これで長女の私は実家に戻る可能性は無く、いつでもどこでも嫁げるようになった。晴れて自由の身だ。昨晩両親に電話をしたところ「いまの彼氏と仲良くやってくれればお父さんもお母さんも反対はしないから」と言われるほど自由となった。弟が地元に帰ること、つまり家を継ぐことが暗に確定したから言えることだ。介護や固定資産に関する不安等もやわらげてしまったのだから、これは私には出来ない親孝行のかたちだと思う。尊敬。マジ弟リスペクト。

 

一姫二太郎の典型として私はしっかりした長女となった。レールに乗っている。そこそこの職にも就いた。ここもレールに乗れたと思う。業務量や給与に関する多少の不満はあれど、正社員だ。今後はちゃんと結婚をして、出産し、孫を両親に抱いてもらいたい。それにて、私なりの親孝行のかたちとなってほしい。