パンケーキはブスの食べ物

あくまで可愛いのはパンケーキであってわたしではないのだ。

幸せであるように ——ナラタージュ感想

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わたしは、映画というエンターテインメントの価値をよくわかっていないまま25年間生きている。

 

ジブリやコナンは幼い頃からよく見ているので劇場で見たいとは思うけれど、1~2年経てば金曜ロードショーや土曜プレミアで無料で見れるのだから、わざわざ1500円払ってみることもなくない?とさえ思うときもある。

その映画を見るにあたり、本当に明白な理由、例えば嵐が主演だとか、ジブリの新作だとか、神木隆之介くんが出てくる映画(cf.『君の名は。』、『バクマン。』、『桐島、部活やめるってよ』等)で大ヒットをとばしているだとか、そういう行動根拠がなければ腰が上がらなかった。

映画に真正面から向き合うには体力がいる。見たいという気持ちや理由が自分の中で大切であればあるほど、一人で映画館に行かなければならないとさえ思う。作り手の意図や熱意を分かってあげたい。ただ好きな人とのデートの口実に映画を使ってばかりではいられない。

 

登場人物が全員有能でハイスピードに物語が進んでいく作品(ラピュタシン・ゴジラ)と、静かで行間の多いハイコンテクストな作品(風立ちぬやベンジャミン・バトン)が好きなのだが、ナラタージュは後者の映画だった。タナトスとエロスのあふれる映画だった。

 

最近の恋愛映画、特に高校生の恋愛が描かれる作品は、とにかく菅田将暉山崎賢人福士蒼汰広瀬すず高畑充希と小松奈々あたりの若手人気役者によるフォークダンス状態で、オクラホマミキサーのごとく俳優・女優がパートナーをとっかえひっかえしている。

たまに亀梨くんや生田斗真も参加して、大人と少女の恋愛にもなる。基本的にJK目線で描かれるので、強引な男に戸惑うJK、偶発的なキス、部活の先輩後輩・壁ドン・ツンデレ・オラオラ系卍のエッセンスが目立つ。(すべてを見ていないので違っていたらごめんなさい)

 

ナラタージュも、社会科の先生役の松本潤くんと、元生徒役の有村架純ちゃんが出てくるというひたすら暗い映画という前情報だけを把握していた。上記のような薄っぺらい映画だったらどうしよ~と思いつつ、二宮担当と4人で劇場へ足を運んだ。

結局私が誰よりも泣いてしまった。思い出す記憶が多かった。

歩道橋から飛び降りて死んだ柚子は私だったかもしれない。泉が葉山先生へのラブレターを渡せないまま手帳に挟んでいるのを見つけた小野くんは私だったかもしれない。葉山先生からの深夜の電話に感情がゆさぶられつづけた泉は私だったかもしれない。自分の気持ちに自信が持てず世間的に正しいと思える選択をしたがった葉山先生は私だったかもしれない。

泉が葉山先生から受け取った懐中時計のねじを回したのは私だったかもしれない。

 

その日の夜、土曜プレミアで放送していた『レイダース 失われた聖櫃(インディ・ジョーンズ)』を恋人と見た。ソードを振り回し挑発する悪者に向けてダーン!!と拳銃をぶっ放して一瞬で終わらせるシーンや、見るからに屈強な男が飛行機のプロペラに巻き込まれてスライスされるシーンが非常にベタで印象的だった。恋人も楽しんで見ており、ブレードランナーの世界観やアメリカ人から見た日本について熱心に教えてくれた。

私がナラタージュについて熱心に語っても「うん」「そっか」とそっけなく返事をし、まったく興味がなさそうにしていたのに、冒険活劇やSFがどこまでも好きなようだ。わかりやすく陽キャラ的でいい男だと思う。

 

映画そのものの価値はひとりひとりにとって変化するものだと思っている。

読書感想文は読んだ書籍に対する分析や意見を述べるものではなく、似たような自分の経験やその経験と書籍に登場する人物がどのようにリンクするのかを600~1200文字で記述する論述だ。本来であれば論理的思考力や言語コミュニケーションを学び心を豊かにする素晴らしい課題であるのにも関わらず、学校の先生はその本質を教えてはくれない。作文を好きになるきっかけとなる働きかけもなく、単なる夏休みの課題として子どもたちに嫌われながら、苦手意識を持たれながら、読書感想文は消化されていく。

 

私は映画というエンターテインメントの価値はやっぱりよくわかっていない。

ただ、ナラタージュは昔の恋人を思い出させ、大人になってよかったと思わせ、一緒に見たひとと感想や自分の思い出を話したくなり、 いまの恋人が私に向ける笑顔に安心をもたらす映画だと思う。

価値はよくわからないけれど、映画を見て、原作を読んで、感想を表現したいと思える作品だった。

素晴らしい2時間半だった。見た人すべてが幸せであるように。

 

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