パンケーキはブスの食べ物

あくまで可愛いのはパンケーキであってわたしではないのだ。

新たな価値観を選び、受け入れ、自分たちの価値観としてやっていくということは

「急ぎなら外へ出ていきなさい」

 

毎週月曜日行われる朝礼で、会長が挨拶を話しているときのこと。エバーノートでメモを取っていると、隣に座る営業部の女性に注意を受けた。

 

「メモを取っています」と答えると「そうなの、ごめんなさい」と返事が来た。

iPhoneをいじりつづける私を、「朝礼に集中しない若い子」だと思ったのだろう。

 

秘書としての業務のひとつに、会長と社長の朝礼資料の作成がある。営業実績や業界ニュースなどをまとめ、原稿に起こす。そして朝礼が終了すると、挨拶原稿を全社ポータルへアップロードするのだ。文書化された挨拶原稿は、全国拠点内で毎週回覧されているというが、全社ポータルにアップされた原稿のフォントサイズが異なっていたり、社長しか原稿がアップされていなかったりしても、問合せが一切来た事がないので本当に回覧されているかどうかはわからない。アクセス解析もついていないので、誰がアクセスしているのか、閲覧数すらも把握できていない。

 

まだ終身雇用制度の名残がある弊社では、昨年本社移転を経験した。私が入社する前のこと。

時代の最先端を取り入れ、新オフィスのコンセプトに「ペーパーレス化」「フリーアドレス化」をかかげた。一人一つパーソナルロッカーが与えられ、一日の業務が終わるとそこへPCや書類、文具などをしまう。

半年前の転職面接ではそんなことを説明され、素直になんてすばらしい取り組みなんだろうと思った。ぴかぴかのオフィスだし、サイコーじゃんって思った。

 

しかし、入社してみてからわかった。

フリーアドレスと言えども全然フリーアドレスじゃない。

結局経理部や総務部をはじめとする間接部門は、電話のとりつなぎや郵便物などの都合で部署ごとにまとまって座る。だから、ほとんど固定されている。

 

また、ペーパーレス化とは言っても、長くつとめるおじさんおばさんは特に紙文化から脱却できないでいる。

稟議はエクセルのフォーマットに打ち込んだものをプリントアウトし、バインダーに挟んで回覧している。そして、とにかくFAXが大好き。pdfをプリントアウトして手書きで色々記入して、それをFAXで地方拠点に送信してる。pdfのままメールで共有すればよくない?って思ったけど、宗教上の理由でダメみたいだった。

outlookでスケジュールを調整し共有することもできないし、会議にPCを持ち込むことすら変な目で見られる。情報システム部が一生懸命作ったoffice365のマニュアルも読んでもらえないのは本当にかわいそう。

 

だから結局、iPhoneでメモを取ることも注意の対象になる。

「メモは紙でとるもの」という固定観念すらぬぐえずに、何が「ペーパーレス化」なんだろう。ペーパーレス化って、なんなんだろう。みんなそれほんとに一生懸命考えたの?そのコンセプトで変われる、変わっていこうって気持ち持ってるの?派遣を雇い入れるときや会社説明の時、気軽に「ペーパーレス化です!フリーアドレスです!」ってアピールするけど、他人事になってるんじゃないのかな。

 

みんなの意識から、紙で何かするという選択肢がなくなるということが究極のペーパーレス化だと思っていたけれど、どうやらそうじゃない宗教もあるということを、この会社で知った。

コンサルティング部でコンサルタントをする社員ですら、会社が掲げる大義名分に向けて持つべき意識が何なのか、具体的な行動規範として、どういうものがあるのか、想像できていないって実態が、私は許せない。なんだその体たらくわ。

 

みんな思考停止状態に陥っている。

形骸化された業務をやるたび、許せない気持ちが沸き起こる。

前任者から引き継いだから、ずっとやってきていることだから。そういう思考停止状態のまま、私は今日もポータルへ挨拶原稿をアップした。